特集・読み物
株式会社水谷壮市デザイン事務所の特集記事
第17回 【空間デザインとオフィス】 株式会社水谷壮市デザイン事務所 水谷壮市
昨今の空間デザイン傾向として、従来の、目的に沿った空間構成をするというより、目的の曖昧な構成、言い換えると本来こうでなくてはならないと言った、従来の常識を超えた、空間デザインが注目されて来ていると思う。例えば、レストランのような『住宅』、住宅のような、『ファッションショップ』、ファッションショップのような、『医療施設』、そしてバーのような『オフィス』と言ったように。
コンピュータが発展した現在、ラップトップコンピュータに一列に向かい孤独な作業と効率優先にした、レイアウトのオフィス空間では、本来知的業務であり、フェイスツーファイスのコミュニケーションの場であるべき空間が、その意味をなくしてくる。
インターネット及びメールの伝達手段が必要不可欠になり、又その信頼性が高まる昨今、一つの空間を共有し一人一人の仕草や状況が認識出来る空間デザインが以前よりまして重要だと思う。むろんオフィス内での人間関係に苦言を呈する人はいるであろうが、だったら自宅にPCを持ち込んで仕事をこなし、空間を共有する必要がなくなってしまう。
それでは何故空間を共有する必要があるか。一つには、過去も現在も企業のヒラエルキーをはっきりさせるという一面がある。つまり上下関係をはっきりさせ、命令系統が敏速に行なわれることを目的とした空間構成。役所的な業務を遂行する場合、有効であるかもしれない。ただ今日的なデスクワークの場合、多様な人間の構成で、上下関係に重きを置かず、誰もが自由に発言出来、またアイデアを出し合い、そのチームワークとしての業務のレベルアップを目指す形体が必要であろう。
内部会議は会議室で行なわず、ワークステーションスペースそこが同時に会議室である。そうするとそこはレストランの要素が内在したり、又バーカウンター的な要素があってもおかしくはなく、より以上に業務の高密度化を促すことになるかもしれない。
現にある照明器具メーカーのオフィスには本格的なバーを備え、ある時間以降は、社内、社外、男女問わず、一杯酌み交わしながら、社長も専務も肩書きなしの一人として、若い人たちとのコミュニケーションを計っている。
以前当社設計した広告制作会社のオフィス例で、日中は来客とのミーテングスペースとして利用し、7時以降は、社内の人たちとクライアント、友人たちとの親睦のためのピアノバーとなる空間をデザインした、オフィスが生演奏のジャズを楽しむ空間に早変わりする空間である。こんな場合、商談スペースを設計すると言うより、バーを作ることに重きを置いた空間デザインになるのは必至である。イメージのかたいワークスペースでジャズを聴き、一杯傾ける訳に行かない。
又、別の例であるが、パリに本社をおく世界的に有名なブランドの某アパレルメーカーの本社は、エントランスを入って大きな吹き抜けに面した明るく且つ、そのオフィスビルの中で一番空間的に快適と思われる場所に、革職人の作業スペースが大きく設けられている。一般的にはそのような場所は営業や、役員のスペースに使いがちだが、このメーカーはその企業が一番大事にして来た伝統である『もの作り』、そしてその『職人』たちをオフィス空間の中心に据え、企業の姿勢を本社社屋で表している。本社機能と、工場部門は分離して構成する企業が多いが、この企業はあくまで本社内に製造部門を組み込み、『もの作り』がこの企業の根幹であることを内外に表現している。
オフィスは、よく言われるように、会社の姿勢を現す重要なプレゼンテーションの場である。その企業の特徴、歴史を自問自答して、その企業らしいレイアウトをすべきであって、同業他社と競うがあまり、自社の利点を見失い、画一的な空間デザインにならないオリジナリティーのある空間デザインが必要であろう。
オフィスデザインはオフィス専用のデザイン事務所が手慣れているであろうと短略的に考えずに、先ずは自社の特徴を再考し、理念を明確にしたところからはじめなければならない。
そして重要なことは、知性と感性を刺激する美しい空間を作ることである。多数の人々が集積する空間が、人の頭数で空間割りをすることではなく、ある種のドラマチックな構成も必要であろう。
冒頭の話に戻すと、遊ぶ、食べる、寝る、ショッピング、旅行、そしてビジネス、等の人間の行動空間がクロスオーバーして、新たな空間が出現することを、オフィス空間のみならず、いろんなジャンルから創造していくことが、空間デザイナーの使命でもある。
コンピュータが発展した現在、ラップトップコンピュータに一列に向かい孤独な作業と効率優先にした、レイアウトのオフィス空間では、本来知的業務であり、フェイスツーファイスのコミュニケーションの場であるべき空間が、その意味をなくしてくる。
インターネット及びメールの伝達手段が必要不可欠になり、又その信頼性が高まる昨今、一つの空間を共有し一人一人の仕草や状況が認識出来る空間デザインが以前よりまして重要だと思う。むろんオフィス内での人間関係に苦言を呈する人はいるであろうが、だったら自宅にPCを持ち込んで仕事をこなし、空間を共有する必要がなくなってしまう。
それでは何故空間を共有する必要があるか。一つには、過去も現在も企業のヒラエルキーをはっきりさせるという一面がある。つまり上下関係をはっきりさせ、命令系統が敏速に行なわれることを目的とした空間構成。役所的な業務を遂行する場合、有効であるかもしれない。ただ今日的なデスクワークの場合、多様な人間の構成で、上下関係に重きを置かず、誰もが自由に発言出来、またアイデアを出し合い、そのチームワークとしての業務のレベルアップを目指す形体が必要であろう。
内部会議は会議室で行なわず、ワークステーションスペースそこが同時に会議室である。そうするとそこはレストランの要素が内在したり、又バーカウンター的な要素があってもおかしくはなく、より以上に業務の高密度化を促すことになるかもしれない。
現にある照明器具メーカーのオフィスには本格的なバーを備え、ある時間以降は、社内、社外、男女問わず、一杯酌み交わしながら、社長も専務も肩書きなしの一人として、若い人たちとのコミュニケーションを計っている。
以前当社設計した広告制作会社のオフィス例で、日中は来客とのミーテングスペースとして利用し、7時以降は、社内の人たちとクライアント、友人たちとの親睦のためのピアノバーとなる空間をデザインした、オフィスが生演奏のジャズを楽しむ空間に早変わりする空間である。こんな場合、商談スペースを設計すると言うより、バーを作ることに重きを置いた空間デザインになるのは必至である。イメージのかたいワークスペースでジャズを聴き、一杯傾ける訳に行かない。
又、別の例であるが、パリに本社をおく世界的に有名なブランドの某アパレルメーカーの本社は、エントランスを入って大きな吹き抜けに面した明るく且つ、そのオフィスビルの中で一番空間的に快適と思われる場所に、革職人の作業スペースが大きく設けられている。一般的にはそのような場所は営業や、役員のスペースに使いがちだが、このメーカーはその企業が一番大事にして来た伝統である『もの作り』、そしてその『職人』たちをオフィス空間の中心に据え、企業の姿勢を本社社屋で表している。本社機能と、工場部門は分離して構成する企業が多いが、この企業はあくまで本社内に製造部門を組み込み、『もの作り』がこの企業の根幹であることを内外に表現している。
オフィスは、よく言われるように、会社の姿勢を現す重要なプレゼンテーションの場である。その企業の特徴、歴史を自問自答して、その企業らしいレイアウトをすべきであって、同業他社と競うがあまり、自社の利点を見失い、画一的な空間デザインにならないオリジナリティーのある空間デザインが必要であろう。
オフィスデザインはオフィス専用のデザイン事務所が手慣れているであろうと短略的に考えずに、先ずは自社の特徴を再考し、理念を明確にしたところからはじめなければならない。
そして重要なことは、知性と感性を刺激する美しい空間を作ることである。多数の人々が集積する空間が、人の頭数で空間割りをすることではなく、ある種のドラマチックな構成も必要であろう。
冒頭の話に戻すと、遊ぶ、食べる、寝る、ショッピング、旅行、そしてビジネス、等の人間の行動空間がクロスオーバーして、新たな空間が出現することを、オフィス空間のみならず、いろんなジャンルから創造していくことが、空間デザイナーの使命でもある。
株式会社 水谷壮市デザイン事務所
住所: 東京都港区南青山4-24-10-BOX-8 3FC
業態: デザイン・設計
【水谷壮市 経歴】
1955 福井県生まれ
1973 中央大学経済学部中退
1975 京都芸術短期大学卒業
1979 Plastic Studio & Associates 入社
1987 水谷壮市デザイン事務所設立
1990 株式会社水谷壮市デザイン事務所設立
エルメスジャポンの日本国内のオフィスのデザインを全て手がける
住所: 東京都港区南青山4-24-10-BOX-8 3FC
業態: デザイン・設計
【水谷壮市 経歴】
1955 福井県生まれ
1973 中央大学経済学部中退
1975 京都芸術短期大学卒業
1979 Plastic Studio & Associates 入社
1987 水谷壮市デザイン事務所設立
1990 株式会社水谷壮市デザイン事務所設立
エルメスジャポンの日本国内のオフィスのデザインを全て手がける
- 第30回 【モノもサービスも売れない時代のコスト削減案。】 ARiS(Asahikizai Renewal Innovation System)
- 第29回 【無駄なコストを徹底的に削減する】 株式会社MACオフィス 代表取締役社長 池野 衛
- 第28回 【“働き方をデザインする”ということ】 株式会社デザインワークスプロジェクト 代表取締役 中澤拓二
- 第27回 【「Net'n'Nest」のすすめ】 株式会社インターオフィス 梅秀行
- 第26回 【最小のコストで不況を乗り切るオフィスの在り方】 株式会社MACオフィス 代表取締役社長 池野 衛
- 第25回 【オフィスデザインのススメ。】 株式会社ドラフト 代表取締役 山下泰樹