みなさんはIT業界のオフィスというとどんなイメージをお持ちだろうか。最先端の業界で、GoogleやFacebook、YahooなどのIT関連大企業のオフィスが様々なところで紹介されており、「自由」「開放的」「最先端」などのイメージを持っている方も多いかもしれない。実際に、時代の先端を行くIT企業は従業員の働き方も先進的で、オフィスも新しい働き方に適したものとなっていることが多い。事務所デザインのサイトでご案内しているIT関連企業のオフィス事例を見てみると、その他にも様々な共通点があることがわかる。
コロナ禍を経て人々の働き方が大きく変わり、新たな働き方を後押しするオフィスデザインが好まれるようになっている。最新のIT企業のオフィスデザインには、どのような特徴があるだろうか。
まず、フリーアドレスを導入する企業が多くなっている。IT企業を中心として、情報をクラウドで保存し作業をペーパーレス化する傾向にあり、コロナ禍を経てリモートワークを選ぶ従業員がいっそう増えたため、座席を固定する必要がなくなったからである。
次に、フリーアドレスの導入により設計の自由度が高まったオフィスに、様々な種類の座席を用意する企業が多い。例えば、カジュアルなミーティング用のテーブルとフォーマルな会合に対応した会議室、カフェのようなオープンスペース、オンライン会議用のブース、集中して作業したい人向けの静かなエリアなどである。特に、カジュアルな座席を設置すると、リモートワークで減少しがちな社員同士のコミュニケーションが活発になるだけでなく、おしゃれな雰囲気の会社として認知され求職者も増える傾向にある。
最後に、従業員の声に応じて、疲れにくい椅子を導入する企業も増えている。特にエンジニアの方などは、オフィスで長時間パソコンに向き合う働き方をすることが多いことから、長時間座っていても座りにくい椅子を導入することを希望するケースが多い。
今回はこれからオフィスの移転や改築を検討しているIT企業に参考になるよう、最新のオフィスデザインのポイントや、事例からわかる優れたオフィスデザインの特徴をご案内していく。
業務のペーパーレス化やパソコンでの作業の増加、出社する社員のコミュニケーションの促進に対応した、デザイン性の高いオフィスを三つ紹介する。
フリーアドレスを採用した、株式会社ケーメックスのオフィス。業務用ない家具を多用し、開放的で居心地の良い空間となっている。
業務用のスペースのすぐそばにソファー席などがあるフリースペースを設けた、株式会社アクシスのオフィス。カフェのような雰囲気で、フリースペースでリフレッシュしながら仕事ができる。
こちらは、株式会社日本システムテクノロジーのオフィスにある防音ブース。システム開発を行う社員が集中して快適に作業できるような、落ち着いた空間となっている。
今やIT関連企業が最先端の業界であることやグローバルに展開する企業が多いためか、自社の世界観の表現を大切にしたオフィスづくりを目指している企業が多かった。IT関連は新しい会社が後から後から出てくる業界。いかに自社の理念やイメージをクライアントに印象づけるかはとても重要なポイントだ。
インパクトがあるとしかいいようのない株式会社アドウェイズのエントランス。和のテイストでまとめられているが、力強いデザインと配色で他のオフィスの和空間とは全く異なる印象を与えており、同社の社風、「人と人との関係を最も大切とする」から生まれた「義理と人情」というテーマを忠実に再現。
情報と人が行き交う場というイメージを表現した、ヴィジュアルプロセッシングジャパン株式会社。IT業界で毎日飛び交う膨大な情報量とそれを支える人を表現したオフィス。
出典:事務所デザイン
デザイン:ユニオンテック
ネットワーク事業をメインの業務としているアクシス株式会社の東京オフィスの会議室は、壁と床一面でネットワークを表現。
最初にお客様を迎え入れる場所でどのような印象を与えるかはとても大切である。ここでは3社3様のインパクトのあるエントランスを持つ企業を紹介する。
空港のラウンジをイメージして作られたエントランス。シンプルではあるが、空間の広がりを存分に感じさせ、オフィスではなく本当に空港に来たような感覚に陥る。
出典:事務所デザイン
デザイン:フロンティアコンサルティング
エントランスがサークル上になったシアトルコンサルティング株式会社のエントランス。懇親会などにも多目的に使えるサークルラウンジとしての使われる、ユニークかつ機能的なエントランスだ。
他にないデザインを求めて出来上がった株式会社トップスアンドコー受付付近のスペース。シックで落ち着いた空間にアーティスティックな照明という取り合わせが確かにユニークな空間を創り出している。
IT企業というと、実はまだ少しうさんくさいと思う人も多いのか、清潔感や爽やかさを意識し、業界ならではのシャープさをオフィスデザインに求める企業も少なくないようだ。
出典:事務所デザイン
デザイン:ユニオンテック
白と青を基調とした、清潔感のあるオフィス。鳥取という場所柄もあり、派手な感じのオフィス空間は避け、デザインするポイントを絞ったシンプルさが好感のもてるオフィス。
クリアブルーの衝立で各所を区切ることで、仕事に集中できる環境を確保しつつ、清潔感のあるイメージを実現。
出典:事務所デザイン
ベトナムハノイを拠点とするSEPTENI TECHNOLOGY CO., LTD.の青空と海をイメージした青と白のオフィスは、開放的で爽やかな印象。ハノイという海のない地域で海をイメージしたオフィスというのも面白いコンセプトだ。
ITというボーダレスでグローバルな業界では、日本企業であることを印象づけるデザインが重要と考える企業も多い。
受付に和紙の重ね貼りをしたというイー・エージェンシー株式会社。和の雰囲気もさることながら、時間とともに風合いをます和紙の趣に、会社のこれからを期待して欲しいという同社の意気込みが感じられる。
靴を脱いで上がる座敷スペース。和のイメージはもとより、リラックスして情報交換できるスペースとしての機能も大きい。
出典:事務所デザイン
デザイン:ユニオンテック
海外のお客様も多い株式会社SHIFTは、日本らしさと企業イメージを印象づける空間を作り上げた。70年物の松の盆栽を使用し、葉は精巧なフェイクにすべて付け直したというこだわりよう。
ITというとパソコンに向かって一人作業しているイメージが強いが、新しいアイデアを生み出していくことが大切なのは言うまでもない。そのためのコミュニケーションを活性化させるオフィス空間のアイデアを紹介する。
ホワイトボードをワークエリアに点在させ、歩きながらも会話が生まれる環境を創造。
リクルートライフスタイルのオフィスのあちこちにある「集まるスポット」には、書き込める天板が取り付けてあり、すぐにミーティングを始められる。
自社の世界観をスマートに表現したり、和のテイストや独自のこだわりを持ったオフィス事例が多く、参考になったのではないだろうか。世界観を表しながら社員が集中して仕事に取り組んだり、アイデアを生み出したりするために快適なオフィスデザインをぜひ実現していただきたい。