事例や調査から見る女性が働きやすいオフィスとは

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女性の社会進出が叫ばれて久しいが、総務省のデータを見ると、女性の就業率の上昇が見て取れる。年齢別の就業率を1975年と2011年で比べると、25歳〜29歳と30歳〜34歳でそれぞれ41.4%から72.8%、43.0%から64.2%と大きく上昇している。

企業の中でも重要な構成員となった女性だが、女性たちが満足できる職場環境が整っているかというとまだまだではないだろうか。少し前の資料になるが、「はたらく未来研究所」は、2015年に経営者と女性社員の間の理想のオフィスと現在のオフィスのギャップに関するズレについての調査結果を発表している。

この調査結果をふまえつつ、女性にとっての働きやすいオフィスのポイントを見ていきたい。

 

<参考>

経営者必見!オフィス空間の満足度が会社の業績につながる 〜女性が活躍する会社を作る〜

 

女性がオフィスに重視するポイントは「リフレッシュスペースの充実」「快適な空気」「個人のスペースの広さ」

「はたらく未来研究所」の調査によると、女性がオフィス環境で最も重視するのは「リフレッシュスペースの充実」。トイレや食堂、休憩室、喫煙室などが整備されていて欲しいという希望から、職場の中でのプライベートな時間はしっかりと休息したいという意識が見て取れる。しかし経営者との意識にギャップがあり、女性社員が不満を感じているのも、このポイントだ。


出典:http://www.atelierys.com/blog/wp-content/uploads/sazan1.jpg

もう一つ重要な点は、空気。オフィスの空気がきれいで、温度調節など空調がしっかりできることは、女性社員だけではなく、経営者も意識しているポイントだ。だが、業種の違いや業務内容、オフィス内の滞在時間などで部屋の温度がどのぐらいが心地良いと感じるかは個人による差もあり、全員が満足するような空調にするのはなかなか難しいポイントかもしれない。

また、個人のスペースへの意識が経営者と女性社員ではことなるというのも面白い。パーティションがあったりすることで、業務に集中できると考えている女性が多いとのこと。生産性を重視する経営者としてはあまり出てこないポイントかもしれない。


出典:http://www.msenergy.info/_img/office_hanbai/desk/01.png

こうした女性目線の働きやすさを追求して作られたビルがある。大阪市中央区に2015年に設立された日本生命本店東館だ。最先端の空調や、着替え台を備えたトイレの個室、バッグが置ける台の設置された洗面台、洗面台と別にあつらえたパウダールームなどを用意している。女性社員を数多く抱える保険会社ならではの取り組みだ。


右奥が2015年竣工日本生命本店東館、左手前が1962年に竣工した本館
出典:日経不動産マーケット情報

 

その他調査には出てこないが、調査から見えてくる「個人」を大切にする女性にとっては、オフィスの立地も重要なポイントになるのではないだろうか。食事を取る場所がたくさんある、家からのアクセスが良い、仕事帰りに出かけやすいなどは女性にとってだけではないが高ポイントとなりそうだ。

また、清潔感のある、おしゃれなオフィスも人気が高いだろう。長時間を過ごすオフィス、雑然とした面白みのないオフィスで働くよりもきれいで見た目のよいオフィスのほうが感性を重視する女性社員にとって魅力的に映るに違いない。


出典:https://cdn.liginc.co.jp/wp-content/uploads/2016/05/CINRA-7.jpg

長年オフィスソリューションを提供してきたコクヨによると、女性目線のオフィス環境を整えるために、空間に香りを取り入れたり、荷物を運ぶカートを使いやすいものにする、ウォーターサーバーを常温にするなど、細かいところまで気を配る企業も出てきているとのこと。

 

そしてこうしたポイントを押さえつつ、制度的にも出産や子育て女性特有の事由に理解があり、コミュニケーションが円滑に行えて働くやりがいや自分自身の成長を見いだせる会社なら、喜んで働く女性が多いのではないだろうか。

このような取り組みをしっかりと行っていく会社が増えていくと、より女性にとっても働きやすい環境が増えていくのではないだろうか。このような環境が整っていく未来に期待したい。

 

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