オフィスのデザインの役目~床を効果的に使う~

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企業のイメージやポリシーを表現するオフィス空間のデザイン。その中でも、無意識のうちに印象を左右し得るのが、「床」に関するデザインである。一昔前のオフィスでは、汚れが目立ちにくいグレー系のタイル床を多く見かけたが、最近では色や素材にまでこだわった多種多様なデザインも。今回はオフィスの床デザインに注目し、実際の導入事例を紹介していく。

 

インパクト大!文字を使った床デザイン

床に企業名やポリシーを大きく表示するデザインは、従業員を始め、訪れるクライアントにも強い印象を与える。特に注目を集めやすいのが、エントランスや会議室などの床。書体のデザインによっては、躍動感や遊び心などを思いのままに表現することもできる。

 

株式会社レガリス


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン: ws+design,inc.

こちらはバッグや財布などのファッション雑貨を手掛ける企業のエントランス。モルタルの駐車場の床には、企業名が大きく描かれている。書体にはスタイリッシュさとインパクトを兼ね備えたデザインが採用されており、社員はもちろん、近隣や外を行き交う人に対してもセンス溢れる企業イメージをアピールしている。

 

リレーションズ株式会社


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:officeL [オフィスル]

コンサルティングやウェブメディアなどを手掛ける企業のオフィス。企業ビジョンである「マイナスをプラスにする瞬間を創り続ける(b++/ビープラス)」を表現したというワークスペースには、様々なプロジェクトが立ち上がる様子が伝わる”INCUBATION FIELD”の文字が。床に加え、壁にも大きく文字がデザインされており、クリエイティブな印象を与えている。

 

 

効果的なラインデザイン

次に、ライン(線)を活かした床のデザイン事例を見ていきたい。殺風景になりがちな廊下や会議室に一本のラインが加わることで、「仕切り」の意味とは別に、「前進力」や「飛躍力」を印象付けることも。ここではそうした効果を意識したラインデザインを紹介していく。

 

株式会社エイム・ソフト


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:株式会社ヒトバデザイン

コンピューターシステムやソフトウェア、スマートフォンアプリなどの開発を手掛ける企業のエントランス床には、まるで滑走路のような破線がデザインされている。通路正面には「AIM the FUTURE」と書かれたガラス装飾が。通路は執務室に延びており、ここを通るすべての人に“企業の明るい未来”を印象付ける強いインパクトをもたらしている。

 

株式会社マイクロアド


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:株式会社ヒトバデザイン

こちらは、広告プラットフォーム事業を手掛ける企業のミーティングスペース。「先進性」「シンプル」「スピード感」といったキーワードをもとにデザインされている。同心円状のラインとオフィスチェアのカラーがマッチしており、近未来的で洗練された印象だ。

 

 

オシャレに区切る!色や高さによるゾーニング

パーテーションや壁で空間を仕切るのではなく、床の“色”や“高さ”でエリアを区切るデザインも。ここでは、感覚的に空間を間仕切りする床のデザインを見て行こう。風通しが良く、広々とした印象を与えてくれるこの手法は、広いオフィスはもちろん、スペースの限られるオフィスでも取り入れたい。

 

ISIグローバル株式会社


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン: officeL [オフィスル]

こちらは、語学教育や留学サポート事業を手掛ける企業兼学校のラウンジスペース。グレー部分は通路、緑系のチェック柄部分は書棚やミーティングスペースと、床の色でエリアを分けている。生徒同士のコミュニケーションの場であることを意識した、開放感溢れる明るいデザインが印象的だ。

 

株式会社ナベカヰ


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン: officeL [オフィスル]

解体撤去工事業を手掛ける企業のオフィス。圧迫感のある仕切りを作らず、床の色や緩やかな曲線でワーキングスペースをエリア分けしているため、社員がコミュニケーションをとりやすいオープンエアーな空間が生まれている。また、事業のイメージとは真逆ともいえるポップなデザインで、訪れる人を和ませている。

 

JFEエンジニアリング株式会社(丸の内本社)


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:株式会社アーバンプラン

エネルギーシステムや産業機械などの設計・建設を手掛ける企業のワークスペース。オフィス内は大きく2つのゾーンに分かれており、会議室やカフェスペース等の共用部分が執務スペースを大きく囲う形となっている。2つのゾーンは間接照明の備わった段差で区切られ、スタイリッシュな印象。壁が無いため広々とした空間が確保でき、パーティーや大規模なセミナーなどの会場としても利用が可能だ。

 

Quipper Ltd(Japan Branch Office)


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:株式会社ヒトバデザイン

こちらは、学習コンテンツの制作・配信を手掛ける企業のオフィス。各エリア毎にテーマを持たせて床の色や素材、高さに変化をつけることで、パーテーションなどで仕切りを作らなくとも自然なゾーニングを実現している。オフィス全体を見渡せるような開放的な空間は、全体的にカラフルで楽しい印象。

 

 

アイデアあふれる床デザイン

以上に挙げた企業の他にも、床を使った様々なアイデアで「企業ポリシー」や「業務内容」などをうまく表現しているオフィスがある。ここではそうした事例を紹介する。

 

株式会社アスリートプランニング


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:ws+design,inc.

こちらは、体育会学生の人事コンサルティング事業を手掛ける企業のエントランス。床に描かれた「トラックライン」のデザインに、来訪者の中には「よーい、ドン!」のポーズをとって写真撮影をする人もいるそうだ。事業内容をストレートに表現しつつ、思わずSNSに投稿したくなってしまうフォトジェニックなデザインだ。

 

K Lab株式会社


出典・事例詳細:事務所デザイン.COM
デザイン:株式会社ヒトバデザイン

スマートフォンゲーム開発事業を手掛ける企業のワークスペース。床から壁にかけて道路や線路が描かれていたり、標識や踏切が立体的に立ち上がっていたりと、オフィス全体が「街」に見立てられた遊び心溢れるデザインだ。こちらの楽しい空間は、「フレキシブルでクリエイティブな環境」をテーマにデザインされたという。

 

いかがだっただろうか。大きな面積を占めているものの、デザインの側面では意外と盲点になりやすい「床」。新たにオフィスを構える際やインテリアを見直す際には、オフィスのイメージを大きく左右するこうした「床」のデザインにもぜひ注目したいものである。

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