猛暑日が続く日本の夏。真夏のオフィスでは、エアコンの温度設定について迷ったり、屋内と屋外との気温差で体調を崩したりと、悩みが多いもの。今回は、こうした夏場のオフィス環境をより快適にするために具体的な対策を考えていきたい。
すでに社会に定着している「クールビズ」の取り組み。地球温暖化対策の一環として2005年から政府が提唱している、冷房時の室内環境28℃を目安に、夏を快適に過ごすライフスタイルだ。2019年はクールビズの実施期間は5月1日から9月30日までとされており、暑い日には室温の適正な管理と各自の判断による軽装を呼び掛けている。さらには、省エネ型エアコンへの買換えや、西日よけのブラインド、日射の熱エネルギーを遮蔽する効果のある緑のカーテンの導入といった具体的な提案も明記されている。
オフィスの適正温度・湿度に関しては「事務所衛生基準規則第5条3」で定められており、「室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない」と記載されている。ここで注目したいのが「湿度」の設定だ。湿度が低ければ体感温度も下がるといわれているため、除湿を心がけることでオフィス環境の改善が期待できる。
湿度調整というと、エアコンの「除湿モード」を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、「除湿モード」は温度をできるだけ下げずに除湿することを目的としている場合が多く、気温が低い日(秋ごろ)に湿度だけを下げたい場合に適しているそう。空気を冷やして温度を下げることを目的としている「冷房」のほうが結果的に除湿効果も高いため、真夏のオフィスでは冷房モードが適していると考えられる。体が冷えすぎる場合は、冷房モードで温度を高めに設定した「弱冷房」状態にすると効果的だろう。
夏になると心配なのが、熱中症や脱水症状だ。冷房の効いた室内であっても、熱源が近かったり、風が通らない場所にいたりした場合は、熱中症や脱水症状になってしまう危険があるという。直射日光を避け、扇風機などで風通しを良くすることはもちろん、こまめな水分補給も心がけたいところ。スポーツ飲料などのような、塩分補給もできるものを選ぶとより効果的だろう。
三菱ビルテクノサービスが2016年7月に発表した「ビジネスパーソン1,000名に聞く、夏のオフィスのエアコンに関する意識と実態調査」によると、オフィスの設定温度を26℃〜27℃に設定しているオフィスが63.1%とのこと。また、オフィスの冷房設定を「寒い」と感じる人については、女性が60%、36.2%という回答だったという。
さらに、「寒い」と回答した人の8割以上が「オフィスの冷房が体調不調に結びつくことがある」と回答。症状別に見ていくと、女性は「肩こり」の49.7%、男性は「風邪」の45.9%がトップという結果になった。こうした「クーラー病」とも呼ばれる症状を予防するためには、室温と外気温との差が5〜7度以内になるように設定し、体を冷やしすぎないようにすることがポイント。つまり、真夏であれば室温27℃前後が理想だということだ。さらに、冷房の風に直接当たらないようにしたり、体を動かして血行を良くしたりすることで改善が期待できるだろう。
複数の人が働くオフィスで、全員にとって快適な空間を作り出すのは難しいもの。そこで、まずはオフィス内の気温をチェックすることをおすすめしたい。ここでポイントなのが、エアコンの設定温度ではなく、実際の室温を調べることだ。クールビズで提唱されている「冷房時の室内温度28℃(目安)」というのは、エアコンの設定温度を28℃にすればいいというものではない。もし室温が快適でないと感じる場合は、室温を確認した上でエアコンの設定温度を見直してみよう。
また、オフィス内のスポットで調べてみると、気温のムラなどにも気づくことができるだろう。オフィスの気温を変化させてしまう原因としては、熱源(プリンター、コーヒーマシン等)や照明、直射日光などの影響も考えられる。具体的な対策としては、可能な限り熱源から離れること、照明をLEDに変えること、ブラインドやカーテンを設置することなどを試したい。さらに、エアコンから出る風を室内に循環させるため。扇風機や回転式のファンなどを利用するのも良さそうだ。
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USB扇風機 usbファン/SENDOWTEK
デスク周りの風通しを良くすることは、熱中症対策にも効果的だろう。最近の小型扇風機は、利便性だけでなく機能性も抜群。こちらの卓上扇風機はスタンド式でもクリップ式でも使えるため、どこでも手軽に設置が可能。アロマ機能も付いているため、リラックス効果も期待できそうだ。
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Deconovo ひんやりブランケット
冷え対策の定番ともいえるひざ掛け。こちらの「ひんやりブランケット」は素材の異なる2つの生地で作られており、表は接触冷感のクール生地、裏は柔らかいタオル生地となっているため、気温によって使い分けが可能。性別や年齢問わず、真夏のエアコン対策としておすすめしたい商品だ。
とにかく蒸し暑い日本の夏。快適なオフィス環境を目指すなら、まずはオフィスの適切な温度・湿度を知ることが第一歩だろう。エアコンの使い方を見直したり、対策グッズを活用したりしながら、この機会にぜひ夏のオフィスを快適に過ごせる工夫をしてみてはいかがだろうか。