企業のオフィスといえば、メインスペースのほかに、受付、会議室、給湯室、大きな会社では社員食堂などで構成されているのが一般的だろう。基本的には無駄なものは省いて構成されていることが多かった。しかし、外資系企業の影響もあり、近年、ユニークなつくりのオフィスが続々と増えている。なかには、従来までのオフィスの常識にとらわれない、非常に斬新なものも。今回はそんな一風変わったオフィスを紹介する。
もはや、ユニークなオフィスのパイオニア的存在と言ってもよいグーグル。アメリカではボーリング場、スイスではゴンドラや滑り台、鉄棒、オランダでは、自転車王国にふさわしくオフィス内に自転車専用のレーンが備わっているなど、世界中のオフィスが斬新なアイデアで溢れているのは有名な話。
出典:http://hamanews.info/articles/18395.html
もちろん、日本のオフィスもとても独創的だ。たとえば、図書室、ビリヤード台、卓球台、ミニジム、カラオケルーム、「電車でGO!」などのゲーム機やGoogleアースが体験できるマシーンなどが設置されている。目的は、仕事の効率化とよりよいアイデアを生み出すため。ちなみに、日本のオフィスは日本一賃料が高いと言われている六本木ヒルズにある。ここにこれだけの遊び心溢れるスペースを確保できるとは、世界のグーグルの懐の深さを感じずにはいられない。
最先端のアドテクノロジーを駆使し、広告業界において成長をし続けているオンラインマーケティングコンサルトのフリークアウトのオフィスは六本木のヒルズガレージにある。
社内にはバスケットコートや、音響設備や照明設備が完備されたステージやDJブースが設置されている。
出典:HRナビ
また、なぜか、ワーキングスペースにはプールがある!しかし、水は張られておらず、プレゼン用のパソコンやマイクセット、テーブルや椅子が置かれている謎のスペース。だが、海フェスをテーマにしたというその空間は、見ているだけでなんだかテンションが上がってくる。
みんなで作る検索結果「NAVERまとめ」の運営や、総合ポータルサービス「ライブドア」を子会社にもっていた旧ネイバージャパン株式会社。現在はNHN Japan株式会社とLINE株式会社に分割吸収されたが、当時のオフィスは、大崎駅から徒歩2分、ThinkPark Tower内にあった。エントランスを抜けてすぐのエリアにはゆったりとした大型ソファが並ぶ社内カフェがあり、ミーティングや憩いの場として利用されていた。もちろん、メニューも本格的。
出典:http://www.mdn.co.jp/di/articles/2324/?page=1
カフェの横にはダーツボードがあるほか、マッサージルームも備わっていた。ちなみに、マッサージルームには、マシーンのみならず、マッサージ師も常駐していて、格安でサービスを受けることができるというのだから嬉しい限りだった。現在はこのオフィスは移転済みとなっており、非常に残念だ。
出典:http://yuru-mama.com/child-care/going-out-with-children/snowpeak-kengaku/
アウトドアブランドであるスノーピークの本社は新潟県三条市にある。オフィスのほかに、ショップや工場が敷地内にあるほか、キャンプ場まで併設されている。このキャンプサイトは、社員のみならず、事前にスノーピーク会員の入会手続きを行えば、一般の人も利用することができる。宿泊利用も日帰り利用も可能で、シャワールームが用意されているほか、キャンプ初心者のために、キャンプ一式を借りることができるレンタルサービスもある。手ぶらでキャンプを楽しみたいと思っている人はもちろんのこと、スノーピークの製品を購入前に一度試してみたいと思っている人にとっても嬉しいサービスだ。
出典:http://mag.sendenkaigi.com/brain/201601/tokyo-worker/006911.php
北陸新幹線開通キャンペーンのアートディレクターも務めた水口克夫氏の会社、ホッチキスが、北陸新幹線開通後の2015年5月に、金沢に支社を立ち上げた。支社のオフィスには、1階と2階部分に「Books under Hotchkiss」という名前の書店兼ギャラリーが併設されており、毎回、特定のアーティストに着目した展示が展開されている。1階はそのアーティストによる選書を、2階にはアーティストの作品を展示し、3階と4階部分がオフィスとなっている。ちなみに、「Books under Hotchkiss」を訪れてスタッフの姿が見当たらない場合は、入り口付近にあるiPadの画面をタッチすると、スタッフがオフィスから降りてくる。のんびりとゆるやかな雰囲気は地方ならではと言えるかもしれない。
海外WiFiのレンタルサービス「イモトのWiFi」で有名なエクスコムグローバル株式会社。渋谷オフィスの地下には、エクスコムグローバルオフィスの休憩ラウンジが設けられている。
今はやりのボルダリングウォールやゲーム機「太鼓の達人」があるほか、ラウンジでは19時以降はお酒を飲んでもOKとか。
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目的は、「社内コミュニケーションの強化」と「外部パートナーとのコラボレーション」。そのために、ラウンジでは、取引先のパートナーなど外部の人も社員とともに利用することができるようになっている。
従業員の心と身体の健康増進に取り組む「ウェルネス経営」の推進や最適なダイエットプログラムを提案するスマホサービス「FiNC ダイエット 家庭教師」などを手がけるヘルスケア企業のFiNC。管理栄養士が多数在籍していることもあり、社内にはクッキング教室も開くことができる大型のキッチンスペースが設置されている。
出典:http://moffice.tokyo/matome/articles/QY5WsnJB?page=3
また、会員制のプライベートジム(予約制)や、トレーニング後にエステを受けることができるエステルームが併設され、エステティシャンも常時在籍しているとか。健康な身体づくりを目指す会社ならではの設備と言えそうだ。
7つの個性的で独創的なオフィスを紹介したが、ここで働きたい!と思った会社もあったのではないか。楽しい施設が備わっていることで、気分がリフレッシュされ、仕事がはかどりそうな気もするし、実際、ユニークなオフィスに変えたことにより、求人の応募の増加につながったという声もあるようだ。これらのオフィスに共通することは一見業務に不要と思えるモノでも積極的にスペースに取り入れていることだろう。この懐の深さがそこで働く社員のモチベーションを上げ、結果的に企業のメリットとして循環されているのではないだろうか。